会長 黒田 賢一
会長 黒田 賢一

ごあいさつ

正筆会は2018年(平成30年)に創立90周年を迎えました。初代会長安東聖空以来、本会は古筆を拠り所にしながら、「仮名書」研究の歩みを重ねてまいりました。
仮名は日本人が創り上げた文字であり、古来、四季折々の風情、心の機微等を詠った和歌や俳句を書き表してきました。
私たちは、このような歴史と先人の築かれた学書の成果を基盤とし、格調高い文字の造形、しなやかな筆線、たゆたう連綿や行の流れ、情趣豊かな散らし書きや余白等、仮名書の魅力を発信し、その普及発展に努め、我が国の素晴らしい伝統文化として後世に伝えていかなければなりません。
また、児童生徒のための書写教育の推進や、手紙、書き初め等の日常生活に根ざした書道文化、手書き文字文化の継承についても、寄与してまいりたいと思います。
本会がその使命を果たすことができますよう、皆様方のご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

歴史

正筆会は1925(大正14)年、初代会長である安東聖空を中心に設立されたかな書道研究団体で、多くの会員誌友が北は北海道から南は沖縄まで、さらには海外にも拠点を置き、書活動を行っています。
1929(昭和4)年1月、現在の「正筆」誌の前身である「かなとうた」を創刊し、1936(昭和11)年8月には「せいひつ」の前身となる学生部の競書も新設、子供から大人まで書を学びたい大勢の方々に向けての書の普及を目指します。
第二次世界大戦の戦局が逼迫する中、一時解散を余儀なくされ、会誌も休刊せざるを得なかった時期もありましたが、戦後の荒野に一日も早く書という芸術を復興させ、人々の心に豊かさを取り戻したいという思いから、1947(昭和22)年いち早く、「和道」と名前を改め会誌を復刊、1948(昭和23)年には「和道書塾」を設立します。この「和道」という名前について、安東聖空は次のように説明しています。
書道は和道である。和の心を以てなさねば書にならぬ。一字の構成は点画の和により、一幅の書は各字の和による。更に筆墨紙の和によって全部がなされる。
この道を和といふのである。この和によって尊い書が生れ、人が生れ、社会が生れ、国が生れ、世界が生れるのである。 発刊時より、ただ字を上手に書くため、造形的に優れた作品を書くため…といった技術的なことだけを志向するのではなく、尊い書を通して世の中に貢献をしたいという想いで活動をしています。
1949(昭和24)年には名前を「正筆会」に、会誌も「遊絲」、そして1951(昭和26)年にはさらに「正筆」へと改めます。1965(昭和40)年には学生誌「せいひつ」が一般誌「正筆」から分離され、2016年月4月号をもって通巻1,000号と歴史を重ねて現在に至っています。

大正14年(1925)
安東聖空 書道研究団体「正筆会」を設立する
昭和4年(1929)
「かなとうた」創刊される
  • 「かなとうた」表紙 昭和4年4月号表紙
    昭和4年4月号
  • 創刊号発刊の言葉 初代会長安東聖空創刊号発刊の言葉
    初代会長安東聖空
  • 創刊号題字 吉澤義則創刊号題字
    吉澤義則
昭和11年(1936)
「梅雪かな帖」発行
昭和17年(1942)
第1回正筆会展覧会 神戸大丸
昭和25年(1950)
安東聖空 第6回日展審査員に就任
昭和32年(1957)
安東聖空 日本書芸院理事長に就任
昭和36年(1961)
安東聖空 日本藝術院賞を受賞
昭和37年(1962)
西谷卯木 正筆会会長に就任
昭和39年(1964)
西谷卯木 第7回日展審査員に就任
昭和43年(1968)
正筆会40周年記念式典 神戸オリエンタルホテル
小澤神魚 第11回日展審査員に就任
昭和47年(1972)
安東聖空 日本藝術院会員となる
昭和48年(1973)
西谷卯木 第5回日展内閣総理大臣賞を受賞
昭和53年(1978)
正筆会50周年記念式典・祝賀会 神戸オリエンタルホテル
会長西谷卯木没 73歳
昭和55年(1980)
安東聖空 文化功労者に選ばれる
昭和57年(1982)
安東聖空 宮中歌会始召人に選ばれる 御題「橋」
坪井正庵 第14回日展審査員に就任
昭和58年(1983)
名誉会長安東聖空没 89歳
石井梅僊 正筆会会長に就任
石井梅僊 第15回日展審査員に就任
昭和63年(1988)
正筆会60周年記念式典・特別講演会・祝賀会 神戸ポートピアホテル
理事長坪井正庵没 73歳
平成3年(1991)
会長石井梅僊没 76歳
顧問川北春江没 84歳
平成4年(1992)
黒田賢一 正筆会理事長に就任
平成6年(1994)
相談役・顧問小澤神魚没 97歳
平成9年(1997)
黒田賢一 第29回日展審査員に就任
平成10年(1998)
正筆会70周年記念総会・記念式典・祝賀会 新神戸オリエンタルホテル
平成17年(2005)
大西きくゑ 第37回日展審査員に就任
平成20年(2008)
黒田賢一 正筆会会長に就任
正筆会創立80周年記念祝賀会 クラウンプラザ神戸
平成21年(2009)
田中徹夫 正筆会副理事長に就任
黒田賢一 第41回日展内閣総理大臣賞を受賞
平成22年(2010)
大西きくゑ 森本栖鳳 正筆会副会長に就任
山根亙清 正筆会理事長に就任
三宅白城 吉村茂 正筆会副理事長に就任
顧問 魚田松園没 87歳
顧問 小野桂華没 86歳
平成23年(2011)
黒田賢一 平成22年度日本藝術院賞を受賞
黒田賢一 日展理事に就任
平成24年(2012)
黒田賢一 第34回姫路市芸術文化大賞を受賞
黒田賢一 日展常務理事に就任
山根亙清 第44回日展審査員に就任
平成26年(2014)
野田正行 正筆会副理事長に就任
黒田賢一 改組日展理事に就任
田中徹夫 改組新第1回日展審査員に就任
平成28年(2016)
正筆誌4月号通巻1000号
正筆誌通巻第1000号発刊に寄せて
平成29年(2017)
黒田賢一 日本書芸院理事長に就任
古稀記念 黒田賢一書作展 日本橋髙島屋
黒田賢一 神戸新聞平和賞を受賞
平成30年(2018)
正筆会創立90周年記念祝賀会 ホテルオークラ神戸
平成31年・令和元年(2019)
奥山義治 寺坂昌三 正筆会副理事長に就任
野田正行 改組新第6回日展審査員に就任
田中徹夫 改組新第6回日展会員賞を受賞
黒田賢一 日本芸術院会員となる
令和2年(2020)
黒田賢一 読売書法会最高顧問に就任
黒田賢一 日本書芸院最高顧問に就任
黒田賢一 日展副理事長に就任
令和3年(2021)
寺坂昌三 第8回日展審査員就任
副会長 大西きくゑ没 91歳
副理事長 奥山義治没 79歳
令和4年(2022)
顧問 三宅白城没 84歳
日本芸術院会員就任記念 黒田賢一書作展 山陽百貨店
令和5年(2023)
副会長 森本栖鳳没 89歳
黒田賢一 文化功労者
令和6年(2024)
川上鳴石 正筆会副理事長に就任

2024年1月5日 更新

歴代会長

初代会長

安東聖空 1893~1983

明治26年(1893)
8月19日 兵庫県姫路市に生まれる
大正3年(1914)
兵庫県立姫路師範学校卒業
大正14年(1925)
書道研究団体「正筆会」を設立 会長に就任
昭和15年(1940)
兵庫県立第一高等女学校教諭を辞す
「梅雪かな帖」と「梅雪手紙帖」を発行
昭和22年(1947)
梅雪の号を聖空と改める
昭和23年(1948)
日展第5科の新設で委嘱出品
昭和25年(1950)
日展審査員に就任
昭和26年(1951)
兵庫県文化賞受賞
昭和32年(1957)
社団法人日本書芸院理事長に就任
昭和34年(1959)
社団法人日本書芸院会長に就任
昭和36年(1961)
日本芸術院賞受賞
昭和37年(1962)
日本芸術院賞記念展を姫路・山陽百貨店で開催
正筆会名誉会長に就任
昭和43年(1968)
勲四等旭日小綬章を受ける
昭和44年(1969)
喜寿記念展を東京・三越本店で開催
昭和47年(1972)
日本芸術院会員となる
昭和48年(1973)
神戸市文化賞受賞
昭和49年(1974)
勲三等瑞宝章を受ける
神戸新聞平和賞受賞
昭和52年(1977)
日本かな書道会会長に就任
昭和53年(1978)
「聖空百人一首展」を東京高島屋で開催
昭和54年(1979)
「安東聖空百人一首展」を大阪三越で開催
昭和55年(1980)
安東聖空謹書「歴代天皇御製百首展」を東京三越本店と大阪三越で開催
文化功労者となる
昭和57年(1982)
新春恒例の宮中歌会始の召人の栄に浴する
昭和58年(1983)
3月3日没
正四位勲二等瑞宝章を追賜される
著書
  • 仮名書道研究叢書 全6巻(書芸文化院)昭和39年
  • 古典かなの美 全3巻
  • 現代書道教室「安東聖空」(筑摩書房)
  • 歌集「うのはな」(同朋社)昭和57年
作品集
  • 石苔集(松林堂)昭和34年
  • 聖空作品集(二玄社)昭和40年
  • 一心集 昭和49年
  • 聖空芸術(心彩社)昭和51年
  • 聖空百人一首(正筆会)昭和53年
  • 歴代天皇御製百首(サンケイ新聞社)昭和55年
書碑
  • 明石市民会館庭園「かたつぶり」昭和54年
  • 播磨中央公園石碑の丘 昭和61年
  • 須磨離宮公園 昭和63年

二代会長

西谷卯木 1904~1978

明治37年(1904)
神戸市に生まれる
大正9年(1920)
安東聖空に師事
昭和6年(1931)
文部省中等教員検定試験習字科合格
昭和10年(1935)
神戸女学院に勤務
昭和16年(1941)
兵庫県立第一神戸高等女学校に勤務
昭和23年(1948)
校名変更により兵庫県立神戸高等学校教諭となる
昭和32年(1957)
日展特選受賞
昭和34年(1959)
日展特選受賞
昭和37年(1962)
兵庫県立神戸高等学校を退職
正筆会会長に就任
昭和38年(1963)
日展菊華賞受賞
昭和39年(1964)
日展審査員に就任
昭和43年(1968)
現代書道二十人展出品
昭和44年(1969)
蕪村句碑揮毫 琴平町に建立
昭和45年(1970)
兵庫県文化賞受賞
東京三越本店において個展を開催
昭和48年(1973)
日展内閣総理大臣賞受賞
昭和53年(1978)
京都朝日会館画廊において個展を開催
6月16日没 従五位勲四等瑞宝章を追賜される
昭和54年(1979)
西谷卯木遺作展を兵庫県民会館で開催
平成6年(1994)
西谷卯木回顧展を神戸大丸で開催
著書
  • 書道技法講座 高野切第一種(二玄社)昭和47年
  • 卯木かな百選(木耳社)昭和47年
  • 入門書道全集かな(実業之日本社)昭和48年
  • 現代日本書法集成 西谷卯木書法(尚学図書)昭和52年
作品集
  • 西谷卯木近作展(大塚巧芸社)昭和45年
  • 西谷卯木書作展(書道新聞社デザインセンター)昭和53年
  • 卯木遺作抄(光琳社)昭和54年
  • 西谷卯木 その軌跡(光琳社)昭和55年
  • 西谷卯木回顧展図録(光琳社)平成6年
書碑
  • 播磨中央公園石碑の丘 昭和61年
  • 神戸女学院 平成2年

三代会長

石井梅僊 1914~1991

大正3年(1914)
10月28日岡山県小田郡矢掛町本堀に生まれる
昭和13年(1938)
文検(習字)合格
昭和17年(1942)
安東聖空に師事
昭和22年(1947)
書道研究清流会を興す
昭和24年(1949)
日展初入選
昭和42年(1967)
日展特選 苞竹賞受賞
昭和52年(1977)
日展特選受賞
昭和54年(1979)
日展委嘱
岡山大学教育学部教授となる
昭和58年(1983)
正筆会会長に就任
神戸そごうにおいて第3回個展を開催
日展審査員に就任
昭和59年(1984)
読売書法展理事審査員に就任
昭和60年(1985)
読売展総務企画委員審査員に就任
昭和63年(1988)
日展審査員に就任
平成2年(1990)
山陽新聞賞(文化功労賞)受賞
紺綬褒章を賜る
平成3年(1991)
正六位勲四等瑞宝章受章
7月21日没
作品集
  • 「石井梅僊書作展作品集」(書道新聞デザインセンター)昭和58年
  • 「石井梅僊遺作展図録」(光琳社)平成4年
書碑
  • 岡山県矢掛町 平成2年

現会長

黒田賢一 1947~

令和5年(2023)10月21日現在

略歴
昭和22年(1947)
1月27日 兵庫県生まれ
昭和41年(1966)
西谷卯木に師事
昭和44年(1969)
改組第1回日展初入選(「猫柳」に対して)
平成4年(1992)
正筆会理事長
平成9年(1997)
第29回日展審査員(後6回)
平成19年(2007)
兵庫県書作家協会会長
平成20年(2008)
正筆会会長
四国大学文学部客員教授
平成22年(2010)
文部科学省検定教科書編集委員
平成23年(2011)
読売書法会常任総務
日展理事
平成29年(2017)
日本書芸院理事長
令和元年(2019)
日本芸術院会員
令和2年(2020)
読売書法会最高顧問
日本書芸院最高顧問
日展副理事長
姫路ふるさと大使
令和3年(2021)
兵庫県芸術文化協会 評議員
日本書道文化協会 副会長
賞歴
昭和61年(1986)
第18回日展特選(「山里」に対して)(後1回)
平成10年(1998)
姫路市芸術文化賞
平成15年(2003)
兵庫県文化賞
大阪府文化芸術功労者知事表彰
第35回日展日展会員賞(「深雪」に対して)
平成21年(2009)
第41回日展内閣総理大臣賞(「静寂」に対して)
平成23年(2011)
第67回日本芸術院賞(「小倉山」に対して)
平成24年(2012)
姫路市芸術文化大賞
平成29年(2017)
神戸新聞平和賞
平成30年(2018)
地域文化功労者文部科学大臣表彰
令和5年(2023)
文化功労者
現在
  • 文化功労者
  • 日本芸術院会員
  • 日展副理事長
  • 現代書道20人展メンバー
  • 読売書法会最高顧問
  • 日本書芸院最高顧問
  • 全国書美術振興会業務執行理事常務理事
  • 日本書道文化協会副会長
  • 全日本書道連盟顧問
  • 兵庫県芸術文化協会評議員
  • 兵庫県書作家協会顧問
  • 正筆会会長
  • 四国大学客員教授